拒食症の原因
イギリスだけでも100万人以上が拒食症に悩んでいる。今まで、この病気は女性のスリム願望で発病するとされてきて、社会の風潮が問題視された。摂食障害協会の発表によると、10万人あたり、年に11人が新規に発病し、その90%が女性である。
セイントジョージ病院の青少年精神科医であり拒食症の専門家であるブライアン・ラスク氏は、今回の発見により拒食症の治療が今後変化するであろうと述べている。
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「今まで、拒食症については生物学的理由より社会的文化的側面が強調されてきました。拒食症は明らかに生物学的原因で起きているのであり、そうでなければ今の社会では我々全員が拒食症になってしまうでしょう。生物学的理由により発症すると言っても、喘息や糖尿病と同じ位と言うだけです。でも、一部の人は拒食症になりやすい遺伝子を持って生まれて来たのは間違いが無い。加うるに、社会にスリムな体に憧れる風潮や圧力があれば、更に発病しやすいと考えます」とラスク氏は言う。
60名の拒食症患者を調査し、その内の何人かは数年に渡って調べられた。この研究結果はインターナショナル摂食障害誌に発表される。この研究では脳スキャンと神経の検査が 行われ、脳の一部に正常で無い血液流を発見した。
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「患者の脳の片側のある部分が低血流であった。拒食症特有の現象であり、健康な人にはその低血流が存在しなかった」とラスク氏は言う。その特別の部分とは島(Insula)と呼ばれ、拒食症では「島」は他の重要な脳の部分にも接続していて影響を与えている。
拒食症の特徴は強い不安(扁桃体由来のもの)、落ち着きの無さ、いらだち(大脳基底核由来のもの)、強迫観念(前頭葉)、空間視覚障害(頭頂葉)、姿態イメージ障害(体知覚)等である。
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「ロンドンの地下鉄環状線を例に取れば良いでしょう。環状線が動かなくなれば、この環状線につながる他の線も同時に動かなくなるでしょう。このような事が拒食症にも起きている。血液流の低下は「島」に起きていますが、拒食症ではその「島」につながっている他の脳にも異常を起こしている」とラスク氏は続ける。
拒食症では体重が年齢と身長から予想される標準体重より15%少ない。そして心の病では最も致命率が高い病気である。
ラスク氏は異常な低血流は体重減少の結果と言うより、体重減少を起こす原因と考える。
「もしこの低血流が拒食の影響だったら、脳全般にその変化が見られるでしょう。体重が元に戻ってもこの低血流問題が解消しない所を見ると、拒食症の原因であって結果ではないと考えるわけです。この発見で、拒食症を治す新しい治療法の可能性が出て来ましたが、それはまだ10年から20年先になるでしょう。拒食症患者が何故、強迫観念に苦しみ苛まれるのか、今後説明できると期待します。彼等は自分が醜く太っていると思う強迫観念に乗っ取られています。彼等の思考回路に入って、それを変える方法を発見したいですね」とラスク氏は言う
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